ムダ排除による原価低減の手順
日常の生産活動の中に潜むムダを顕在化して改善に取り組みます。
STEP1)モノの整理、表示よる見える化の徹底
5S・3定管理・先入先出を定着させて職場内の見える化を進めます。
STEP2) 改善モデルラインを選定
職場の責任者と作業員を交えて話し合い、改善モデルラインを選定します。
※次のステップからは、前述の話し合いで「次工程への供給遅れを発生させているラインを改善したい」という目標を掲げた場合を例に解説をすすめます。
STEP3) ライン間のモノの流れの現状把握
モデルラインが決まったらそのラインを含めたモノの流れ全体をフロー図に落とし込み、当該ラインの位置づけを認識します。
※このフロー図では部品塗装ラインから組立ラインまでのモノの流れのみを図に示しています。
※このフロー図では部品塗装ラインから組立ラインまでのモノの流れのみを図に示しています。

モノの流れ図を作成し、各ライン間で発生しているムダを顕在化します。
次のステップでは供給遅れを発生させている「〇〇BKT加工ライン」の作業者の動きを見ていきます。
STEP4) モデルラインの設備配置や作業員の作業内容などを書き取る

チェックシートに現状の作業の順序とモノの流れを書くことにより、各作業者がどのような作業を担当し、モノがどう流れているかが把握できます。
次のステップでは作業者Aさんの仕事をタクトタイム(T/T)で考えた結果、改善がどう進むのかをご説明します。
STEP5) タクトタイムを算出
タクトタイムとは1日の稼働時間を必要生産数で割った数値のことです。
簡単に表現すれば1個何秒で生産しなければならないかという時間値のことで、この時間の把握は生産性に大きく影響する必須項目です。
仮に1日の必要生産数が100個で稼働時間が480分であった場合、タクトタイムは4分48秒ということになります。

STEP6) 作業内容と作業時間を観測し現状を把握
では実際にAさんの作業に当てはめて見ていきましょう。

図はトヨタ生産方式で使われる標準作業組合わせ票を、ここでの説明のために特に簡略化したものです。
図にように人の仕事と設備の仕事を分けると問題点が如実に表面化し、Aさんの作業時間がタクトタイムをオーバーしているということと、設備が仕事をしている間は人が何もしておらず手待ちが発生していることが明らかになりました。
Aさんの作業時間がタクトタイムをオーバーしている
手待ちが発生している
STEP7) 改善
それではAさんの作業を改善するにはどうしたらよいでしょうか。
改善策の1つとして、座繰り切削済の粗材を手持ちとして1個持つことが有効です。それによって設備の送り作業の間Aさんが手持ちを使って次の作業をすることができるようになり、手待ちが解消されます。
※スワイプまたはボタンで改善前と比較
座繰り切削後の粗材の手持ちを持つことにより、機械の送り作業を待つことなく次の作業が可能になり、手待ちをなくすことに成功しています。同時に作業もタクトタイム内に収まるようになり業務が改善しているのがわかります。
手持ちを確保する
作業順序の入れ替え
STEP8) 山積表を作成する
次に作業者Aさんの作業時間がどのように改善されたか山積表で比較します

標準作業組み合わせ票で人の仕事と設備の仕事を分けた結果、問題点が明確になり作業の組みなおしに成功しました。改善前の問題であった手待ち部分(設備の仕事のみの部分)がなくなり、作業もタクトタイム内に収まっています。
まとめ
①作業順序の入れ替え
②前後の工程の作業を取り込む
③手持ちを持つ等によって自動送り中は他の仕事に取り組む




